発達障がいの子の「宿題=癇癪」の公式を変えるには?

お子さんに癇癪(かんしゃく)を起こされて困ったという経験を持つお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか。2、3歳の子がおねだりするのに、ひっくり返って泣きわめく姿もそう珍しくはないと思います。

でも、発達障がいを抱えるお子さんの癇癪は頻度もレベルも違います。幼児期を過ぎても大きな身体で癇癪を起こす事もあります。癇癪は起こしている子供も辛いですが、一緒にいる親にも辛いものです。

今回は、宿題や習い事の練習の時に起こりやすい癇癪を防ぐ方法や原因について紹介します。

 

癇癪を未然に防ごう

一度起きた癇癪を収めるのは大変ですが、癇癪を未然に防ぐよう対策を取ることは、それより簡単にできます。専門家や経験者の話を元に、その方法をtomatoがまとめてみました。

本人の学習レベルを見極め、考えよう

癇癪を起こす理由として、やっていることが難しくて理解できないことにストレスを感じるというものがあります。つまり、本人が宿題や課題を進めるのに苦労すればするほど、癇癪への階段を上っていくことになります。

癇癪への第一歩を止めるのに、宿題や課題の内容を親が先にチェックし、本人のレベルに合っているか把握する必要があります。

こうすると、本人のレベルに合っていれば自分でやらせて、そうでなければ親が助けながらすると決めることができます。

発達障がいを持つAちゃんは、得意な宿題はスイスイと終わらせるのですが、ちょっとでも頭を使わなければならない宿題になると、明らかにイライラしていました。1年生の時は漢字練習を、少し大きくなってからは計算の宿題をひどく嫌がって、宿題が終わる頃には親子でぐったりしていました。

付きっきりでやってはいましたが、自分でできるだけやらせようと頑張り過ぎていたかもしれない・・・。そう思い直したお母さんは、Aちゃんが苦手なものの一つを請け負って、負担を減らす努力をしました。例えば、漢字練習なら薄い線で漢字を書いておき、Aちゃんは書いてなぞるだけのマスを増やしたり、計算練習なら式はお母さんが書いてみました。

すると、Aちゃんはストレスは感じているようではあっても、癇癪のレベルまではいかなくなったそうです。

本人に合ったスモールステップで始めよう

発達障がいを抱えるお子さんにとって、興味のない仕事をこなすというのはとても大変なことです。始めるまでの時間の方が宿題にかける時間より長いというお子さんも多いのではないのではないでしょうか。

限られた時間の中で、すでに始めるまでに時間を取られているので、始める頃には親もイライラ。宿題をこなすにも時間がかかるので、ついつい親も急かしたくなってしまいます。そして、急かされることでストレスが溜まり、癇癪の地雷を踏んでしまうのです。

嫌なことはやらないというのは、特に我慢が難しい発達障がいを持つお子さんの場合はよくあることです。なので、嫌なことから始めず、やりたいこと、もしくは簡単にできることから始めてしまいましょう

流れとしては、まず好きなことや簡単にできることから徐々に核心へとつなげていくということです。例えば・・・

  1. おやつを食べる。
  2. 本を読む。もしくは、読み聞かせる。
  3. 絵を描く。
  4. 鉛筆を持っているついでに、宿題へ・・・。

これは、あくまで例えです。お話を読んだ流れで、宿題ということもできます。要は、急に苦手な宿題をさせず、できることを少しずつさせながら、宿題をする方に持っていくということです。発達障がいの特徴の一つとして、急に環境が変わるのを嫌がったり、次の行動へのスイッチが入りにくいというものがあります。このスモールステップは、環境の変化によるお子さんのストレスを和らげる効果もあります。

スモールステップだと時間がかかりそうですが、「宿題をしなさい。」を言い続けても同じくらいかかります。嫌な気持ちで始めるのと、気分が乗ったところで始めるのとでは宿題の進み方も違うので、丁寧な準備でかえって時間をセーブできるかもしれませんよ♪

本人が楽しく勉強できるように工夫しよう

とはいえ、子供が乗ってこないという方もいると思います。そんな時は、逆に勉強自体を面白くしてしまいましょう!

勉強自体を面白くするには、ゲーム方式を取り上げるのが有効です。ゲームの要素は以下の通り。

  1. 決められた時間
  2. 対戦相手
  3. 賞品

この3つの要素を取り入れて、Bくんの家では宿題が進むだけでなく、終わらせるのが楽しくなったそうです。例えば、こんな感じ。

tomato

Bママ:「お、懐かしい! 筆算の足し算だね。ママも忘れてるかもしれないから、一緒にやってみようかな。どう? ママより早く解けそう?」

 

太陽(小2)

Bくん:「ま〜、解けるんじゃない?」

tomato
Bママ:「それなら、ママと競争しようか? 早くできた方が〜、冷凍庫のアイスを先に選べるということで。」
太陽(小2)
Bくん「いいよ! 早くやろう!」

この場合、⒈ の決められた時間は会話にはありませんが、競争時間が必然的に限られてくるので含まれています。

ADHDの診断を受けたBくんは、やりたくない事は何度促してもやらず、やり始めてもつまづくと叫んだり、罵声を浴びせることも多く、Bくんのお母さんには頭痛の種でした。このままでは、お互い「宿題=嫌な時間」の公式が成り立ってしまうと思い、この方法を試してみたそうです。その時、お母さんは、Bくんが時間を限られてゲーム感覚にするとすんなりやってくれる事を発見し、朝の支度などにも似たようなやり方をしているそうです。

本人に合わせない声のトーンで話そう

反抗的な態度をとる、罵声を浴びせる、そして癇癪までもう一歩。そんな時に同じように大声で叱りつけると逆効果になります。「売り言葉に買い言葉」という表現がありますが、これでは癇癪へ階段を駆け上がっているようなものです。

そんな時は、「のれんに腕押し」の言葉を思い出してください。強く押しても反応が無ければ、相手の勢いはどんどん下がっていきます。お子さんが大きな声で叫んでいても、放っておくか、穏やかな声で話しかけるかしているうちに落ち着いてきます。これは、発達障がいのお子さんに限らず、どのお子さんの場合にも同じ事が言えます。

ただ、言うのは簡単です。tomatoも、ついつい声を荒げて、子供が口答えができなくなるまで言い続けてしまったこともあります。その時は大人しくなるのですが、結局嫌な思いをするだけで何も学ばないので、まずは自分を落ち着かせる方法を見つけるべく色々試しています。ここに私が試した方法をご紹介します。

  1. 自分が落ち着ける呪文を作り、6〜10秒数える。(怒りのピークが6〜10秒で通り過ぎると言われているため。)
  2. 時間のある時に、自分の「〜すべき」を見つけて向き合う。

⒈の方法はアンガーマネジメントでよく言われている方法です。「私は大丈夫。」など自分が落ち着けそうな言葉を考えながら、数えるようにしています。数える前にカッとなる時は、「ママ、ちょっと休憩。」と部屋にいなくなります。確かに時間を置くと気分も落ち着き、子供と向けあえるようになります。

⒉の方法は、私には効果がありました。この「すべき」を知るだけで、自分が何に期待して裏切られたと思うのかがわかり、怒りのポイントが見えてきました。そして、これは自分の「すべき」であり、必ずしも正解ではないというものは大目に見る事ができるようになりました。

アンガーマネジメントはあちこちのサイトでも紹介されています。ぜひ、ご自分に合った方法を試してみてくださいね。

本人が出来たところを見逃さず褒めよう

これ、とっても大事です。

発達障がいを持つお子さんは、そうでないお子さんと比べると褒められる機会も少なく、自己肯定感が低いことも多いです。的確に褒める事を積み重ねていると、どんどん自己肯定感が上がり自分を信じられるようになる事から、我慢もできるようになっていきます。

ただ「すごい!」「できたね!」と褒めるのではなく、「〜が、できたね。」と何を褒めているのかをはっきりさせた方がいいようです。実際、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエック氏の研究でも、結果よりもそれまでの過程や努力を褒めた方がさらに結果を出せるよう勉強するようになるという結果が出ています。

この褒める作戦で効果がある言葉の一つとして、「ありがとう」があります。前出のBくんは、特に感謝されるとどんどんやりたがるタイプで、「今日はすんなりやってくれて、本当に助かったわ。ありがとう♪」と、お母さんに言われたりすると機嫌を良くし、お手伝いも喜んでしてくれることも多いそうです。

tomatoは、この作戦を実行してからというもの、子供のいいところがたくさん見えるようになってきました。子供は何を褒められたかは一つ一つ覚えていないと思いますが、褒められたという気持ちは残ります。褒めることで、親も子もいい気分になり、まさに一石二鳥ですね。

 

癇癪の原因を知ろう

それを理解することが、それを乗り越える事への第一歩である。

ーキャロライン・ミラー(Child Mind Institute 編集長)

これを、「癇癪(の原因)を理解することが、癇癪を乗り越える事への第一歩である。」と置き換えてみてください。

なぜこの子はこんなに泣いたり叫んだりしているんだろう?と考えたり、観察するのはとても大事な事です。子供の癇癪の原因に目を向けない限り、どんな方法を使っても長期的な解決には繋がりません。

癇癪の原因として、以下のような事が述べられています。

  • 予期せぬ事が起きた時
  • 思い通りにいかなかった時
  • 夢中になってやっていたことを中断させられた時
  • 無理に我慢をさせられた時
  • 恐怖や不安を感じた時
  • 感覚過敏で不快な思いをした時

お子さんなら誰でも嫌がる状況ではありますが、発達障がいのあるお子さんは脳の前頭前野の自制心を司る部分の働きが弱いとされていることもあり、嫌な気持ちを味わった時の反応が大きくなります。

これらの状況を避ける対策をあらかじめ考えておくと、いざその状況に陥りそうになった時に助けになります。例えば、あらかじめ予定を伝えておくことで、予期せぬことや不安を感じる状況を避ける事ができます。どうしても避けられない時は仕方がありませんが、数を減らせるだけでも生活がしやすくなるので、ぜひ対策をシミュレーションしてみてください。

 

まとめ

  • 子供に合った学習レベルを見極め、適切な手助け、もしくは自分でするよう促す。
  • 子供が勉強を始めたがらない時は、好きなことや取り組みやすいことから少しずつ宿題をする方向に持っていく。
  • 勉強自体をゲームにし、限られた時間の中で終わらせるように促す。
  • 子供が叫んでも、親は反応しないようにするか、穏やかに話すよう努める。親も怒りで反応するのを避けるため、怒りへの対策を立てる。
  • 子供ができたところ、頑張ったところをわかりやすく褒める。
  • 癇癪の原因を見つけ、対策が立てられるところはあらかじめ考えておく。

 

今回は、宿題や家庭学習で起こりやすい癇癪を未然に防ぐ方法と原因について触れました。

癇癪は発達障がいを抱えるお子さんの子育ての中でも、親が最も苦労するものの一つではないでしょうか。発達障がいのない子供の子育てに比べて子育ての成果を感じにくい事が多い上に、頻繁に癇癪を起こされては、親が子育てのやり甲斐を失くしかねません。

子供に親のサポートが必要なように、親にも周りの理解と休養が必要だと言われています。自分を追い詰めずに、辛い時は周りの家族や友人、それが難しければ、迷わず専門家に相談してくださいね。

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